シードル 発祥地から世界に広がる

フランスやイギリスなどヨーロッパでは、発泡酒であるシードルをはじめ、蒸留酒であるアップル・ブランデー、甘いリキュールなどさまざまなリンゴのお酒が数多く造られています。ブドウのお酒に比べてカジュアルに楽しまれていますが、その甘美なアロマは人を魅了してやみません。

 こうとく蜜リンゴ畑

 

シードルそれぞれの個性

シードルの最も大きな魅力の一つは、その一つ一つの個性的な味わいにあります。一つのジャンルとして、ひとくくりにしてしまうのに抵抗を感じてしまうくらい、様々な味わいのものがあります。林檎と聞いて甘いものだと想像していた人が辛口を飲めば、そのギャップから、まったくの別物に感じるでしょうし、あっさりとした日本のシードルしか飲んだことがない人がノルマンディやブルターニュのシードルを飲めば、その複雑な味わいにきっと驚くでしょう。

それぞれの独特な味わいの中に、地域の文化や習慣、造り手の想いを膨らませて飲むと、より一層シードルを楽しめるのではないでしょうか。

  シードル発酵熟成

 

シードル 発祥の地とは

りんごは世界で一番歴史が古い果物であり、原産地である中央アジアのコーカサス カザフスタン 中国の天山山脈から、遊牧民とともにヨーロッパへと伝えられていきました。

世界最初の文明といわれるメソポタミア文明の紀元前4000年前頃の遺跡から、果実の汁を絞るための石臼が発見されており、ワインやビールはこの頃に最初に造られたとされています。

 同じ頃、中央アジアから西へ、ヨーロッパ各国へ移動していったケルト民族はワインやりんご酒を造る文化を持っておりシードルの普及に一役かっているのではないかと考えられています。

 12月りんご畑

 

シードルの起源とリンゴ

そもそも林檎はどこで生まれたのでしょうか?シードルの起源はリンゴの起源です。

林檎は世界で最も古い果物の一つとも言われ、その故郷は現在の中央アジア・カザフスタン辺りだと言われています。

一万年以上前に、その地に自生していた林檎の種が人や動物の移動と共に世界各地に広がっていきました。

4000年前の中国や3000年前の古代バビロニアで接木と呼ばれる林檎の栽培技術があったとされていることから、この古い時代にすでに人による管理の下で林檎が生産されていたことがうかがえます。そうした人々の生活に林檎が寄り添う中で、シードルがいつ生まれたのかについては明らかにはされていません。

林檎は搾ってジュースにすれば果皮などに付着した酵母により自然と発酵し、お酒となるため、収穫した林檎を果汁にして保存しておく過程ですでに生まれていたとも考えられています。

 こうとく蜜りんご畑

 

リンゴの接ぎ木技術の普及

紀元前1世紀中頃、ローマ帝国が誕生すると、りんごの接木の技術がローマにもたらされ、ローマ人は20種類以上ものりんご栽培に成功したといわれています。

ぶどう、オリーブ、オレンジなども盛んに作られ、大きな農園に圧搾機が導入されるようになりました。この圧搾機を使ってりんごが簡単に潰せるようになり、お酒が造られるようになったのではないかと推測されています。この時代に作られた果実のお酒は総称してCicers(シセラ)と呼ばれており、これがシードルの語源ではという説もあります。

 

 

シードルの語源から

語源については、ヘブライ語で果実酒を指す「シェカール」がラテン語の「シケラ」となり、9世紀頃のスペイン・アストゥリアスではリンゴ酒を指すものとして定着しました。スペインではシドラ、フランスではシードル、イギリスではサイダーと呼ばれ各地の文化と共に独自の発展を遂げていきました。

9世紀にはフランク王国の王であり、神聖ローマ帝国の皇帝でもあったカール大帝はビール、林檎酒、洋梨酒の製造のため醸造技術者を自らの領土に在住させる布告や、シードルの製法に関する記述を残しています。

 ブルターニュ

 

シードルついにフランスへ

11世紀にはフランス ノルマンディ地方 ブルターニュ地方でりんご栽培が定着。シードルも盛んに造られました。11世紀中盤にイングランドがノルマン人に征服されると、りんごの栽培に理想的な気候風土だったイギリス西部で、りんごの栽培、シードルの生産が盛んになったといわれています。イギリスは今でも1人あたりのシードルの消費量が世界で最も多い国なのです。

イギリスに渡ったシードルはサイダーと呼ばれるようになって、ヨーロッパ各地に広まりました。

アップルサイダー 

 

シードル アメリカに渡る

19世紀初期には海を渡ってアメリカ・ペンシルバニアに伝わり、アメリカでもシードルの歴史が始まります。

第一次世界大戦後りんごの木の減少によってシードルの需要も減ってしまいその後も下火になってきていますが、1985年頃からヨーロッパ各国で少しずつ息を吹き返し始め、最近ではアメリカでもシードルの消費と生産が伸びてきています。

 日本でもここ数年でシードル醸造所が増えましたね。特にりんごの産地長野県には多くの醸造所があり個性豊かなシードルが沢山ありますね。日本のシードル文化がこれからどうなっていくか楽しみです。

 12月りんご畑 収穫後

 

シードル 林檎を原料とした醸造酒

搾った林檎の果汁に含まれる糖分が、酵母の働きによってアルコールとなり、シードルが造られます。発泡性があるものや無発泡のもの、甘口や辛口、独特な香りを持つものや酸味の強いものなど、地域や製法によって、その味わいは様々です。

林檎は世界の多くの地域で栽培されている果物で、それを原料とするシードルも、多くの地域で造られています。

 シードル 発酵熟成

 

世界のシードルの本場とは

シードルの本場はどこかとよく耳にすることがあります。陶器の器でガレットと共に楽しまれているフランス、イメージありますね。

ボトルを高く掲げ、低く構えたグラスにダイナミックに注ぐ姿で知られるスペインも印象的。パブでビールのタップと並んで大きなパイントグラスに注がれているイギリスでしょうか。

りんごが造られる多くの場所で古くから親しまれているシードルの本場を特定することは難しいかもしれません。しかし、その地の文化や歴史を反映するシードルは、それぞれがそのシードルの本場と言えるのではないでしょうか。

 日本のシードル

 

日本のシードルの進化

ですから日本のリンゴ産地にシードルがあって、生食用のふじリンゴの訳ありを原料にしてもこれも独自性があるわけです。日本のシードルも時間が経過して歴史と共に独自の熟成していくことに期待を持ちたいものです。

やはり、発酵は風土に根付いています。酵母も日本の風土に沿った発酵熟成していくところから日本的発酵の歴史を重ねて少しずつ進化していく先に日本シードルの未来があります。

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