シードルの歴史と作り方とは

シードルとは、りんごから造られる醸造酒。りんごのさわやかな香りと、飲みやすい口当たりが特徴です。シードルの歴史は古く、日本でもりんごの産地で醸造されています。この記事では、ヨーロッパで古くから親しまれているシードルの魅力や製法、おすすめの味わい方について詳しく解説します。

シードルの主な生産国は、フランス、イギリス、スペインなどのヨーロッパ各地。また、アメリカやカナダ、さらには日本でも青森県や長野県などりんごの産地を中心に醸造されています。

 シードル原料りんご

シードルの世界史

 シードルの歴史はワインと同じくらい古く、ヨーロッパでは紀元前からシードル造りがおこなわれていました。4世紀ごろには、ローマでシードルを意味する単語が使われるようになり、9世紀にスペインにおいて、りんごのお酒を意味するものとして定着します。

11世紀には、スペインからフランス北西部のブルターニュ地方に製法が伝えられ、独自の製法が確立されます。フランスといえば、古くからぶどうを使うワインが生産されていましたが、この地域の気候や土壌はぶどうよりりんご栽培に向いていたため、ノルマンディー地方と共にシードルの名高い産地として定着します。

その後、イギリスでもシードル造りが始まり、アメリカやオーストラリアなど世界各国に広がっていきます。

 シードル キャップ

 

シードル 日本の歴史

日本では、1953年に欧米を視察した青森県弘前市の吉井酒造社長が、帰国後に醸造したのが最初だと言われています。ただ、りんごを材料としたお酒の製造は、1938年に竹鶴政孝氏のニッカウヰスキーによって「アップルワイン」としておこなわれていたようです。

シードルは甘口というイメージがあるかもしれませんが、甘口・中辛口・辛口に分類されます。香りは、りんごのフレッシュなフルーティーさが特徴で、甘口はすっきりとやさしい甘味を感じます。中辛口や辛口の味わいは、軽やかな苦味やキレを感じられ、料理によく合います

色は、白く透明なものや赤みがかったものなどバラエティ豊か。りんごを材料としているので、ビタミンやミネラルなどが豊富で、ワインと同様にポリフェノールも含みます。

アルコール度数は28%で、ワインの度数と比べると低いのが特徴。また、発泡しているタイプとしていないタイプ、微発泡のものなどがあり、種類が豊富です。

 シードル原料りんご

 

本場シードルの製造方法

 シードル専用リンゴの収穫には決められたルールにのっとります。リンゴの蒸留酒カルヴァドスの産地では、原料はノルマンディー地方産のりんご、数多いリンゴ品種の中でも、指定のある48種類に限られると決められています。そのほかにも収穫時期や方法についても事細かな厳しいルールが決められています。

りんごは秋から冬にかけて成熟し、収穫を迎えます。シードルには糖度の高い熟したりんごを使用するので、落下するのを待って収穫することもあります。収穫したりんごは屋外で外気にさらして、さらに熟成させます。

日本では、食用品種のりんごからシードルを作ることもあり、収穫は手摘みすることが多いようです。外国産のシードルは、シードル専用のリンゴでつくることが多く、品種も多岐にわたることから、酸味・渋味・苦味・甘味などさまざまな品種のりんごをブレンドしながら味を造るのが特徴で、それぞれのりんごが熟成したタイミングで収穫します。この辺は日本では難しいところです。

 シードル発酵熟成

 

シードル醸造 圧搾から発酵まで

 収穫されたりんごは、洗浄し破砕します。そして、破砕した果肉を圧搾機にかけてゆっくり果汁を絞ります。「油圧プレス」や「遠心分離式」などさまざまな搾汁方法があり、果汁を漉して透明な果汁にするところもあります。この絞り方によって味わいに差が出ます。

発酵は果汁をタンクや樽に移し、時間をかけて発酵させます。果汁に含まれる糖分が酵母と反応することで、アルコールに変化し発酵が始まります。ほかにもりんごの自然発酵を利用する方法や、適切な発酵を促すために酵母を加えて発酵をおこなう方法などさまざまあります。

シードル発酵 

 

シードル発酵工程も千差万別

 しばらくするとりんご果汁は茶褐色に変色し、果肉がタンクの表面に浮き出ます。この果肉を除去し、新しいタンクに果汁を移してさらに発酵をすすめると、酵母が糖分を食べ、アルコールと炭酸ガスを発生させてシードルが完成。発酵期間は最低でも3ヶ月以上かかります。発酵させる期間が長いと、アルコール度数は高くなり辛口に。

また、発酵を2回おこなう製法もあります。1回目の発酵は大きなタンクでおこなわれるので、発生する炭酸は空気中へ放出され泡の少ないシードルができあがります。これを瓶詰めして二次発酵させる製法では、瓶内に泡が溜まり泡の多いシードルとなるのです。

シードルが完成したら瓶詰めします。瓶詰めのタイミングは生産者や商品により異なり、発酵途中のものを瓶に詰めて熟成庫で熟成期間を経て出荷されるもの、発酵終了後に糖分と酵母を追加して瓶内で二次発酵させるもの、発酵後に炭酸ガスを注入するものなどがあります。

シードルグラス 

 

シードルおすすめの飲みかた

おすすめの飲み方としては、シードルは、あまりこだわることなく、ワイングラスやシャンパングラスを使って飲むといいでしょう。また、産地での飲み方を参考にしてグラスを選ぶのもおすすめ。フランス産のシードルは、陶器のマグカップで楽しみ、ビアグラスに注いでビールのようにゴクゴク飲むイギリスやアメリカのシードルは、大きめのグラスを選んでもいいですね。

シードルの温度は、基本的に冷やした方が理想的。もちろん好みによりますが、10度以下がちょうどよく、特にアメリカ産のハードサイダーはよく冷やした方がおいしいですよ。

 シードルと料理

シードルに合わせる料理

シードルは、ワインのように食事と一緒に楽しめるお酒。甘口から辛口までバラエティに富んでいて、アルコール度数も低めなのでディナーだけでなくランチでも気軽に飲むことができます。

フランスのブルターニュ地方の料理「そば粉のガレット」との組み合わせが有名ですが、イギリスやアメリカではフィッシュ&チップスやフライドポテトと共に楽しまれています。辛口タイプは、カルパッチョやグリルなど魚介類や野菜を使った料理がよく合い、中辛口のタイプには、肉料理やチーズなどしっかり目の料理と合わせてください。

 

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