シードル原料の蜜入リンゴこうとく

シードルはもちろんもとになる原料のリンゴが発酵分解してシードルになるわけですからりんごの良し悪しがシードルの出来に大きな影響を与えています。

蜜りんごシードルの原料はどんなリンゴなのかが大きく関わっていることになります。

 

 

こうとくの由来

こうとく(高徳)は1985年に品種登録されたリンゴです。最近こうとくは注目されるようになった新しいのですが、新品種ではありません。驚きの蜜が入る美味しいりんごでありながら驚くほど小玉で、品質にもばらつきがあったため市場から敬遠され、数年前には栽培者がほとんどいなくなってしまって消滅寸前にまでなっていたそうです。 

生まれはというと「こうとく」は東光という品種の自然交雑から青森県で生まれた品種。 1個の大きさは小玉で150250g位が平均的サイズです。 ホントに小玉になりやすく着色の悪いりんごです。 果実の形は円形で果皮は黄緑地に淡褐紅色の縞が明瞭に入り完熟に近づくにつれ特有の光沢が出てきます。

 

 

こうとくが認められなった訳

 見た目に輝きがないこうとくは長年、市場に敬遠されてきました。「まぼろしのリンゴ」どころか、存在価値さえ危ぶまれたと言えます。しかし見た目の悪さの反面、こうとくを半分に切り分けた時の驚き、蜜の多さは他の品種を圧倒します。 

近年になり半端ないその蜜入りに注目されその栽培技術が生産現場から開発されたこともあり、少しずつ「高い香り」と「本来の持ち味である美味しさ」が注目されるようになると産直市場などから人気が出始めました。お客様から注目されたというよりプロ好みの「味」を生産者自体が支持したことで、生産現場に育てられてきた品種といえます。

 

こうとくの難しい栽培方法

「こうとく」と対照的なりんご「サンふじ」は見た目も形も良く、人気も高いのですが、その収穫直前の栽培方法を比べてみましょう。

「サンふじ」は太陽光を充分に当てるために果実の周囲の葉っぱを摘んで日当たりを良くすること(葉っぱ摘み作業)や、日陰になっている側に日を当てるために1個、1個「玉回し」という作業を行います。

玉回しとは1個、1個日陰になる部分に日に当たるように、半分ずつ(180度)を回転させることで着色を促し表も裏も同じように色着かせるのです。このような地道な管理をしていく中で、美味しさの源泉でもある蜜も育っていくことになります。

 ところが「こうとく」は「軸が太く短い」ので玉回しできないのです。無理に着色のために軸をひねるとすぐに外れてしまうのです。そして最後まで蜜入りにこだわるため「葉っぱ摘み」もほとんどできません。

  

 

こうとくの美味しさ蜜の魅力

 このようなことで、サンふじと決定的に違うのは着色のムラが出来てしまうことになります。小玉であること、着色にムラがあって貧弱に見えるが「こうとく」です。半面、見た目悪いが香り高く、蜜入りがいっぱいのリンゴとして長所を生かすことが出来きます。こうとくの美味しさはこうとく特有の蜜成分ソルビトール、蜜の美味しさにあります。 

もう一つ、こうとくの長所と短所が入り混じったところがあります。それは美味しさの基になる蜜が多過ぎることが日持ちの悪さと背中合わせになります。果実の美味しさ、甘さは保存性を低下させてしまうのです。

そのため、こうとくは樹上完熟させ、完熟して蜜入りしたものだけを選りすぐって何回かに分けて収穫します。そうすることで、鮮度の高い高徳をお届けできることをしています。

そして、できるだけ早く食べてもらうことがベスト、できるだけ保存しない保存するなら常温は止め冷蔵庫で保存する。そして冷蔵してもできるだけ早めに召し上がることが大事です。

 

 

こうとくシードル原料として

こうとくを使ってジュースをつくった経験があります。素晴らしいジュース。深い濃厚な味わいと特有の高いこうとくの香りが生きたジュースに出来ましした。

この時にビビっとひらめきました。このリンゴ、こうとくを使ってシードルを作りたい。山形県でも作付面積は多くない品種を使ってシードルにするには原料確保は出来るのか。大きな課題がありましたがが、この思いを大事に地道に稀代りんごの品質にこだわったこうとく特有の蜜に由来する高い香りを大切にした本物のシードルを生産者と共に歩んできました。

最初は、生食でこうとく販売からです。しっかりと蜜入りしたこうとくをセンサーで蜜入りを測定したものだけを販売しました。5年かけてようやくお客様に理解が広がり信頼も頂くことが出来ました。

蜜りんごシードルはまだまだ遠い道のりですが、ひとり一人ずつこの美味しさを理解していただける人を増やして多くのくだものファンと共に蜜りんごシードルを育てていきたいと切に思います。

  

 

こうとく苗木販売のカタログから

 「こうとく」の高い潜在能力に苗木会社も注目していたこと裏付ける記述もあるのです。

苗木販売会社の10年前のカタログに、こんな記述も見つけました。こうとくが品種登録されたばかりのころのカタログと思います。 

「果重は250gでやや小さい。果形は円形で果皮は黄緑地に淡褐紅色の縞が明瞭に入り光沢がある。果肉は黄色で硬くミツ入り良く全体に入る。甘味は中位であるが酸味が少なく香気が強く食味は大変良好である。」

という内容のものですが、これは、苗木販売会社のカタログに書いてあった「こうとく」の特徴を記した内容です。「こうとく」の食味を「大変良好である」と絶賛しています。 

このようなことで、サンふじと決定的に違うのは着色のムラが出来てしまうことになります。小玉であること、着色にムラがあって貧弱に見える「こうとく」にはチャンスはないのでしょうか。「見た目悪いが香り高く、蜜入りがいっぱいのリンゴ」として長所を生かすことが出来ないのものか。こうとくの特徴を生かしたシードルを追求していきます。

  

こうとくの派手な味と地味な見た目

こんなお問い合わせが来ました。『「こうとく」という珍しいリンゴを見つけたので買ってみました。まず驚いたのは袋を開ける前からとても甘い香りがしてきたのです。そして切ってみると蜜がいっぱいです。ひと口食べると強い甘味が広がり、さらに適度な酸味も加わってなんとも風味が豊かでした。後日、そのお店やほかのお店にも行って捜しましたが「もう、ありません」と言われました。 ぜひ、もっと生産していただきたいです・・・・。もう一度食べてみたいのです・・・。』

このようにこのリンゴの魅力を感じてくれたお客様がいたのに何故か「こうとく」は市場から遠ざけられていったのです。

 個のリンゴがお酒として、シードルとして大きな可能性を秘めています。個の可能性を最大化して美味しいお酒を造りたいと思います。

 

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