シードルポワレの美味しい話
フランス北西部のくだもの
シードルポワレ、洋なしシードルとはどんな酒なのかというと、本来シードルとは、リンゴを発酵させて作られるアルコール飲料のことを指します。しかし、最近はリンゴ以外の果実で作られたものも、広義にシードルと呼ぶことが多くなりました。
洋なし100%でつくるシードルポワレもそのひとつです。洋なしは世界中で生産されているわけですが、特にフランスのノルマンディー地方、ブルターニュ地方で作られるりんご、洋なしを使って伝統製法でつくるシードルポワレが有名です。
シードルポワレの産地とは
フランス北西部ノルマンディー地方、ブルターニュ地方は品質の良いブドウ栽培には寒い環境であり栽培には無理があります。この地域の風土に合った果物がリンゴ、洋なしだったということがあり伝統的にリンゴ、洋なしの栽培が盛んな地域といえます。
当然りんごを原料にしたシードルの生産が盛んなところです。シードルの蒸留酒カルヴァドスを支える大事なシードルの大産地です。地域性や伝統を重んじる地域だけにリンゴの栽培方法にも厳正な基準があります。もちろん、シードルの製造方法にも厳正なルールが存在しているのがこの地方の有名な認証制度があるほどの大産地といえます。
そんな環境下、洋なしシードルのポワレはフランス北部の洋梨村でひっそりと造られていて、フランス人の中でもグルメな人にしか知られていないというポワレ。というのも、美味しいのに生産量が少なく、あまり出回らないから知らない人が多いのです。
シードルポワレは種類も豊富
甘口、辛口、旨口などそのバリュエーションも豊富な洋梨シードル、洋なしスパークリングワインの美味しい世界を堪能してみたいものです。
りんごの産地として有名なノルマンディーですが、洋梨の歴史も古く「11世紀にはすでにこの地で栽培をされていた」と言われております。「食前酒に洋梨の発泡酒ポワレはいかがですか?」とどこのレストランでも提案を受けるほどに、地元の人々から愛されているお酒がポワレなのだという印象を強く感じます。
アルコール度数(2℃~9℃)も4度と一般的なものは低いものも多いので、食事をする際もいつもみんなさわやか感のあるポワレを選ばれていて、日本でいうビール感覚で楽しい会食やたとえば仕事の打ち合わせなどの会食の時間でも利用しているほど浸透しています。
一見すると水のように飲んでいるといっても過言ではありません。昼酒とは言わないで昼食のセットのような感覚でごく当たり前に見えています。
私の憧れですが、この地域の食の豊かさと、伝統文化、本来持ち合わせている個々の人たちのアルコール分解酵素のDNAが豊な食と昼飲みの習慣は実に美しい景色となじんでいます。
洋梨ポワレはスパークリングワイン
洋なしスパークリングポワレは、搾りたての洋梨100%でつくられるスパークリングワイン。
果実味溢れる清涼な味わいと、軽やかな飲み口を楽しめるのが魅力です。
ALCも2%から9%ぐらいまでで、甘味料や酸味料は一切加えていない自然の味わい。キリッと冷やしたポワレは、ディップやデザート、魚介、豚・鳥肉料理ともピッタリ、ブリヤサバランなどのフレッシュチーズと合わせると感動の味になるといいます。
シードルポワレをより美味しくいただく方法を紹介しよう。基本的に甘口の白ワインや、リンゴのシードルと同様の飲み方が推奨されている。美味しくいた だくにはよく冷やしていただくことが決め手です。10℃が適温ともいわれます。
シードルポワレの飲みかた
ワインは温度をあげるほど甘みが強くなり、冷やすほど酸味が際立つ。洋梨ワインはかなり甘口に分類されるため、キンキンに冷やすことで、酸味やフルーティーな香りが引き立ちバランスの取れた風味を楽しめる。最低でも冷蔵庫で3〜4時間は冷やし、飲む直前に取り出そう。急いで飲みたい場合は、氷や凍らせたフルーツを入れて冷やすのもおすすめです。
フルーツやチーズと相性がとてもいいです。洋梨シードルはフルーツタルトや、生ハムメロンなどフルーツを使ったつまみと相性がよく、さらにカマンベールやモッツァレラ、クリームチーズなど比較的クセが少ないチーズと合わせても美味しくいただけます。甘みが強い濃厚なスイーツや、ブルーチーズのように独特な香りの食材は、洋梨ワインの繊細な風味が負けてしまうため避けたほうが無難のようです。
アレンジしたカクテルで楽しむ
洋梨シードルをさらに楽しみたい時にぴったりなアレンジレシピをいくつか紹介します。手軽にできてとてもおしゃれなので、自分で楽しむのはもちろんおもてなしにも簡単で最適。
- さっぱり爽快な「シードル・スプリッツァー」がおすすめです。
スプリッツァーは、白ワインをソーダで割るだけのシンプルなカクテルのこと。洋梨ワインで作ればシードル・スプリッツァーとなる。さっぱりした味わいで、幅広い食事に合わせやすい。ソーダは洋梨ワインの自然な甘みを活かすため、無糖のものを用意します。
- デザート感覚で飲める「サングリア」は華やかな色どり、サングリアはワインにスパイスや果物を加えて作りますが、フレーバードワインの一種。洋梨シードルを用いる場合は甘味料を入れず、旬のフルーツとスパイスのみで仕上げるのがおすすめ。フルーツはオレンジ、レモンなどの柑橘系のものを合わせるといいようです。
- 長期保存も可能にする「フルーツのコンポート」はデザートとして最適です。
洋梨ワインが余ってしまったら、桃やリンゴ、洋梨などのコンポート作りに活用しよう。コンポートは、果物を砂糖やワインで煮ることで長期保存を可能にする調理方法ですから。
洋なしのコンポートは凍らせてシャーベットにしたり、アイスに添えたりと幅広く使えるため常備しておくと便利。洋梨シードルを使う場合は砂糖を控えめに調節しましょう。
洋なし産地に密着した食文化
結論をいえば、シードルポワレ、洋ナシ発泡酒はさわやかな甘みと芳醇な香りが魅力。しっかり冷やして、フルーツやチーズと合わせることでより美味しくいただけます。
伝統を重んじるこの地域ならではの格式は高さも感じ取れますが、決して堅苦しく考える必要はありません。
カジュアルな飲み物です。極論すれはどんな料理にもひと工夫すればマッチします。カクテルやコンポート作りにも活用できるため非常にコスパのよい商品なのです。甘口ワインやフルーツが好きならば、ぜひ一度試してみてほしい。食前酒、アペリティフから食事、デザートまで。洋なしポワレが昼食に1本テーブルにあれば、爽やかなフルーツの香りが高く様々な場面でテーブルを華やかに豊かに盛り上げます。